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第2例会 :4月10日(木)12:30 逗子 「カンティーナ」


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   1)会長の時間
  2)幹事報告
  3) 委員会報告
  4) 卓話 吉川雅幸氏(メリルリンチ日本証券)
         「世界経済日本経済の行方」

エコノミストという仕事ですが、経済の状況を数字にするという事が主な内容になります。例えばGDPやインフレの数字等を予想し、その金融市場への影響等を考える訳です。
GDP予想の見方ですが、これは国によって「景気が良い・悪い」の判断となる基準の成長率が異なります。米国2.0~2.1%、欧州1.5%、日本は1.0%、中国7%強が概ねその分岐点です。これを前提に考えると、我々の2014暦年予想は米国2.8%=強気、欧州1.1%=弱気、日本1.6%=強気、中国7.2%=中庸なライン ということになります。為替も米国の回復とアベノミクス継続で円安を見込み、ドルは2014年末108円、2015年末112円の予想です。
米国については、安定した賃金上昇の中での雇用改善に加えて、企業の投資活動が漸く正常化して増加する過程に入ったと見られ、比較的良い循環になると予想しています。欧州は、アリ(=ドイツ、フィンランド等)とキリギリス(=ギリシャ、イタリア、スペイン等)の競争力、特に労働コスト(賃金)の乖離が大きく、ギリシャ等の周辺国側の低能率高賃金というコスト構造が是正=デフレ症状になると予想され、全体の成長率が低くなるという見通しです。そもそも、異なる経済状態の国が同一通貨を使用するのに無理が生じます。過去北欧等事例はありますが、長くは続きません。ユーロを維持するには、キリギリスを切り離すか、ドイツが財政投入してユーロ圏のキリギリスを助けるという方法しかありません。しかしいずれの方法も今年中に決着することは無いでしょう。
中国は、特に不良債権問題の影響度で社内・業界でも見方が分かれます。但し、エコノミストの見方は一般的に楽観的です。というのも、不良債権の絶対額並びに予想損失額に対する今後の成長余力のバランスから、バブル期後の日本の場合よりも余裕があるとの判断です。不良債権額は推定200兆円、損失見込みは20%程度の40兆円と見込まれます。しかし、現在の成長率7%に2%程度のインフレを考えると、不動産価格も成長・物価連動と想定すれば、毎年9%程度上昇することになります。これは、損失率が先ほどの倍だとしても、5年程度で価格が元に戻り、損が埋まる計算になります。日本の場合は、成長率が低くなった段階でのバブルだったので、価格回復に相当時間がかかったということです。中国の場合は日本の70年台に相当し、経済に伴う価格回復力が残っているということです。又、中国は「民主主義」でないため、議論を待たずにトップダウンで対策が打てる状況で、迅速に対応出来ると見られます。
日本ですが、実質金利(名目金利-インフレ率)のマイナス圏入りで、過去の例と同様に設備投資が出てくると予想されます。失業率の低下も賃金を結果的に押し上げると見られ、輸出もある程度は伸びると見ています。輸出は戻らないとの見方もありますが、電機産業で輸出競争力がなくなったものの、機械、自動車は引き続きその力を維持していますので、それが、顕在化すると考えています。
今後の日本ですが、必要に応じて日銀の緩和が行われ、法人税減税も避けて通れない政策となると予想しています。 
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ー 次回例会 -

第3例会 :4月17日(木)18:30
       逗子 「カンティーナ」
                 
  1)会長の時間
  2)幹事報告
  3) 委員会報告
  4) 卓話 ペマ・ギャルポ ペマ・ギャルポ 氏(政治学者 )