更新履歴
ホーム  >  9月25日 第4例会
更新履歴

9月25日 第4例会


ファッションの立場から  教育・産業について

 大沼 聡 氏(文化服装学院副学院長 国際ファッション工科大学連盟元会長)

 

9-25.jpg

 

【教育について】

教育業には1998年から携わっている。教育の使命・ポイントは「出口」にあると考えている。「出口」とは社会であり、学院卒業後、社会で活躍し社会にプラスになる人材を輩出できることが学校の本当のレベルを測る尺度である。偏差値が高いいわゆる有名校を卒業したとしても社会に役に立たなければ、意味はない。文化服装学院の卒業生には有名なデザイナーを始めとして社会で活躍している者が多い。

また、学院では、知徳一体の教育を重視している。知識と道徳が車の両輪のように機能して初めて社会に役立つもの考えている。「徳」の教育は特に重要であり人生の内、知識を詰め込む期間はわずかであり「徳」がなければその後の人生、社会に適合してやってはいけない。そのために、教育者としての自分は心身共に充実すること・常に向上心を持つことを心がけている。

 

【産業としての洋服・繊維について】

学院では1919年から家政学として服装を教えているが、日本はアジアでは西洋化した最初の国であり洋服を取り入れたのも同様である。

産業の発展は一般的に軽工業⇒重工業⇒サービス業の順で展開されるが、私は、日本は元の順に戻り、高付加価値を付けた者・物が生き残り、また、洋服・繊維産業は、地産地消であるべきと考えている。現在でも日本の絹は世界一の品質である。高付加価値・地産地消のためには、社会的価値観の転換が必要であり、「徳」の教育が必要不可欠である。もちろん産業発展による西洋化にもプラスの面もあり、医療等の発達により、赤ん坊が非常に高い確率で大人になることができる社会を実現していることが挙げられる。

【ファッション教育の最終目的】

所有の自由・言論の自由がない国もある。究極的にはファッション・音楽等を個々人が自由に楽しめる社会は素晴らしいと言える。現在の日本が実現できていることを今後も維持できるようにすることが教育の最終目的である。